今年もラマダンの季節がやってきました。
ヨルダンでも今年2021年は4月13日からラマダンとなりました。
日本では東京、大阪などでコロナ対策の緊急事態宣言が明日から発効ということで、デパートなどでは駆け込みで買い物に走る人が多いというニュースを読みました。
私のいるヨルダンではラマダン前日の4月12日まで、それは蜂の巣をつついたような騒ぎで、ラマダンに入るまでに「あれもやっておこう」「これもついでにやっておこう」「あの人に会っておかねば」などなど、本当に忙しい日々が続きました。
このラマダンというのは「断食が行われる」ということで聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。
ラマダンが開始になる日付というのは、実は直前までわかりません。
カレンダーには「4月13日からラマダン」との記載があるのですが、必ず「これは変更になる可能性があります」という注釈が付きます。
ラマダンは新月から始まるのですが、それなりに権威のある「お月さまを見る担当の人」がヨルダンにちゃんといて、
「たしかに新月になった(お月さまが完全に消えた!)」
という状況が目で確認されて初めてラマダン開始が宣言されるのです。
他の投稿でも記したとおり、時間について悠長な感覚の人が中東には多いのですが、カレンダーがそもそも信用できる情報を提供しておらず、
「お月さまをその日に確認してからでないと、何もわかりません~」
というところですから、
「時間に正確に!」
「遅刻するな!」
「締め切り守れ!」
という言葉がいかにここで無力かがよくわかります。
さて、ラマダン前の忙しさがウソのように、ラマダン中の仕事はほとんどストップしてしまいます。
私のスタッフも日の出から日の入りまで、食事はおろか水もコーヒー、紅茶も、タバコもやりません。人によってはツバを飲み込むのもダメだそうです。
普段なら毎朝コーヒーを飲みながらタバコをふかし、他の同僚とのおしゃべりをして仕事に取りかかるスタッフたちも、朝から
どよ~~~~~~~ん。。。。としてます。
「今日は(今日も)仕事ヤル気、全然ありませ~~~ん」
という空気がオフィスに充満しています。
彼等・彼女等が一番つらいのは、日中に断食で飲み食いできないことではなく、やたらと眠たいことなのだそうです。
ラマダン中、日中は断食をしていますが、日の入りになった瞬間にまず「ドカ食い」します。
ラマダンって断食月だから、スーパーも食材売れないんじゃないかと思っていましたが、とんでもない!ラマダン期間中の方がスーパーは売上げが上がるそうです。
そして食事が終わればデザートを食べ、お茶を飲み、みなでゲームをしたりおしゃべりに興じます。
通常であれば、日の入り後の食事を親類や友人の家で共にしたり、カフェで遅くまでおしゃべりに興じたり、家族でナイトマーケットを冷やかして歩いたりします。
今はコロナが猛威を振るい、ヨルダンでも夜は午後6:30から外出禁止令が出ています。外出は無理ですが、いずれにせよラマダンはイスラム教の人達にとって家族や親類、友人と親睦を図るという意味でも特別な時間です。
そんなこんなでラマダン中は夜寝るのはとても遅いらしく、午前1時2時は当たり前だそうです。
睡眠不足で出勤し、出勤したらしたでコーヒーも飲めない、タバコも吸えない、水も飲めない・・
おまけに日中の気温も30度を超えるようになり、暑さで何をするのも億劫になるのです。
私もさすがにスタッフの前で飲み食いできませんので断食してますが、集中力が続くのも午前中が精一杯です。私の場合、
お昼頃から明らかにボーっとしてきて、眠くなるのです。
飲み物、食べ物を口にしていないので、身体が自己防衛反応を起こすんでしょうかね。。。エネルギーが身体から消えていくだけなので、「身体を休めよう、休めよう」、「眠らせよう、眠らせよう」とするのかもしれません。
他のオフィスをのぞくと、男性などは「熱中症になったパンダ」みたいな格好で、椅子から身体がずり落ちた体勢で、なんとか目だけが開いているような人もたくさんいます。。。
こんな状況で仕事なんてできるわけ、ありません。
ミーティングしよう!なんて言った日には、全員から冷たーい視線で突き倒されそうになります。
「これ英語に翻訳しておいてくれる?」
なんて頼んでも、「ええぇええぇええ???」という無言の抵抗の眼差しがおそろしいです。。。
電話をしても、相手から聞こえてくる声は明らかに力がなく、ちゃんとこちらの話を聞いているのかも確信がもてません。。。
おっ、関係先からメールの返信が来てる!と思いメールを開くと、こちらの質問には全然答えておらず、ただ一言、
「ok」
と小さく記されているだけ。
署名までは望みませんが、「ok」ぐらい大文字に、せめて「o」ぐらいShiftキーを押して大文字にならんのか?と叫びたくなります。
ということで、本当に仕事が進まない日が続くのがラマダンです。
その一方、日本はGW前で、ちょうどラマダン前のごとく、日本からは矢継ぎ早に仕事の催促のメールが来ます。
「ショートノーティスですみませんが、一両日中に回答お願いします」
「大変恐れ入りますが、今週中にお返事頂けますでしょうか」
「週明けまでに何とかなりますかね?」
どれもこれも現地の人としっかりお話しなければならない案件ばかりです。
ふとパソコンから目を上げてスタッフを見ると、
どよ~~~~~ん
ですから、今日もまた深い溜息が出てしまうの
です。
「東京本社のSさん、メール拝見しました。
しかしごめんなさい、こっちはラマダン中です
から、一両日中なんてご勘弁ください。」
「東京本社のK君、メールの催促の件ですが、
あなたラマダンって知ってる?
みんな仕事しないのよ。
今週中に返事しろ?
はっはっは、無理無理。」
「東京本社のYさん、メール催促の件ですが、
来週中は無理ですよ~。
だってラマダンだもん。
ラマダン明けじゃあダメ?」
な~んてメールが返せたら、さぞ楽なんですけどね。。。