外国人との会議の難しさ:時間感覚の違い

日本で「社外の人との会議」というと、まず会議が何時に始まって、何時から誰が話すのか、何時に何について話すのか、何時に会議が終わるのかが明確に決まっているケースが多いと思います。そしてだいたいその通りに進行していくものです。

しかし海外、特に時間感覚に悠長な人達との会議では、予め想定していた通りに会議が進みません。

まず会議に平気で遅れてくる
今日は中東のヨルダンでプロジェクトに関する会議を開催したのですが、9時半開始のはずが、10時になってようやく参加者が現れ始めます。そしてそのまま着席してくれるかと思いきや、用意したコーヒーなどを片手に参加者同士でおしゃべりが始まります。

ようやく人が揃い、会議が始まったのは10時半頃で、既に予定の1時間の遅れです。

さあ会議の開始!
しかし主催者の冒頭あいさつの話が長い。。。

最初は静かに話し始めたと思ったら、だんだん興奮してくるのか、最後の方は絶叫に近いほど熱がこもってました。。10分のスピーチのはずが、あっという間に30分近く経っていました

さて気を取り直して全体協議となります。ここで助かることと言えば、「誰か意見ありませんか~」と尋ねることなく皆積極的に発言してくれるということです。それはそれでいいのですが、次第に意見が対立してきてケンカのような言い合いに突入します。

相手を制して、相手が話している途中であろうと自分の意見を言い出します。「それは違う」ということを身振り手振りで表現しながら、さらに熱弁をふるうものが出てきます。それに同調する意見、反対する意見が出て、延々と議論が続くのです。

こちらが時計を気にしながらまとめようとすると、また何かを言い忘れた参加者からさらに違う意見が出てきます。

ようやく休憩に入れたと思いホッとしていると、今度は再開時間になっても皆なかなか戻ってきません。「お~い、そろそろ再開するぞ~」と言って回るのですが、「あ、コーヒーくんでくるの忘れてた」「あと一本、タバコ吸わせてくれ!」「今からトイレ行ってくる」。。。

ここでは日本のように「なんだか時間がおしているみたいだから、早く席に戻ろう」と空気を読む人はいません

 

一度そんなことで愚痴ったことがあります。返ってきた言葉が、

「ちょっとコーヒーを取りに行くだけじゃないの。何を怒ってるの?」
「え?トイレ行っちゃいけないの?」

「会議で納得するまで議論するのは当たり前」
なんで時間がおしてるからという理由で話したいことを我慢し、聞きたいことを我慢しないといけないの?

むむむ。。。最後の方はごもっともです。。。

ここでは皆の前で意見を言わない人は「教養がない人」と捉えます。だから時間が押してるからと空気を読んで質問しないとか、話をはしょって短くするのは「私は教養がないんです」と自ら宣言しているのに等しいのです。

日本人から見ると、こういう人達は「時間を守らない、いい加減なヤツ」にしか見えませんが、違う視点から見れば「まじめに会議で問題解決に取り組む人達」でもあります。

しかし、日本人のお偉いさんが出席するような会議では、私のような駐在員は間に挟まれてしまいます。

日本の方は時間になっても集まらない現地人に対してカリカリしてますし、皆の話が長いとウンザリ顔です。現地人なりに真面目に議論をしているのに、日本人は時計ばかり見ています。。

こんなとき、どうしたらいいんでしょうね。。。

なお、海外や日本における時間感覚の差については、こちらの記事で詳しく書いていますのでご参考まで。

(参考文献)
Schmidt, W. V., Conaway, R. N., Easton, S. S., & Wardrope, W. J. (2007).  Communicating globally: Intercultural communication and international business. Los Angeles: Sage Publications.