ハイコンテクスト文化におけるコミュニケーションとは?

外国人との付き合いで、
やたらと自己主張が強いな」とか、
ちょっとぐらい空気読めよ!」、
察してくれないかな~?
と感じられたことがある方、多いのではないでしょうか。

そうした違和感を感じる背景にあるのが
ハイコンテクスト文化」、「ローコンテクスト文化」です。

今回は「ハイコンテクスト文化」について見ていきます。

ハイコンテクストって?

ハイ・コンテクスト文化は英語表記で「High-Context Culture」ですが、
直訳すれば「文脈に高く依存したコミュニケーションを行う文化
という意味です。

ここでの「文脈」とは。。。

 ・相手と共有している価値観、知識
 ・共通認識
 ・相手との関係性
 ・場の雰囲気
 ・会話の流れ

のことです。

「ハイコンテクスト文化」ではそれらの「文脈」に
高く依存したコミュニケーションを行う、
ということになります。

ハイコンテクスト文化の特徴

「文脈」に高く依存する「ハイコンテクスト文化」における
コミュニケーションの特徴としては、以下のようなものがあります。

直接表現を避ける
・やんわりと、さりげなく否定する
・ほのめかしを多用する
・あえてわかりきったことを言わない

ハイコンテクスト文化では「文脈」

つまり話し手と聞き手が既に価値観や知識、
認識を共有していますので、
既にわかっていることは「いちいち言わない」のです。

また相手との関係性を考慮したり、
その場の雰囲気を敏感に察知し、
直接思っていることを言うとマズい場面では
「やんわり」「さりげなく」言うか、
言葉で言わずに態度や表情で示すだけなのです。

ですから例えば「Yes」と言葉では言いながらも、
その言った態度や表情などから、
本当の意図は「No」であったりします。

このことから、ハイコンテクスト文化では
話し手が「何を言ったか」ではなく、
「どのように言ったか」
を聞き手が敏感に察知し、
相手の意図を汲み取っていかなければなりません

言い換えれば、
ハイコンテクスト文化とは
聞き手にこちらの意図を汲み取ってくれることを期待する文化
なのです。

ハイコンテクスト文化におけるコミュニケーション=「熟年カップルのコミュニケーション」

異文化理解研究の第一人者であるエリン・メイヤー氏の著書に
異文化理解力ー相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』があります。

メイヤー氏は同著で「出会ったばかりの恋人同士」と対比させ、
ハイコンテクスト文化は「熟年カップル」のコミュニケーションである
と述べています。

つまり、熟年カップルは長い時間を夫婦として過ごすうち、
相手の思考回路や好み、癖、言動の裏にある相手の意図が
言葉を交わさなくても知らず知らずのうちにわかるようになります。

例えば朝の挨拶で交わされる「おはよう」という
相手の言葉のトーンを聞いただけで
「相手の体調が良いのか」、
「体調がすぐれないのか」もわかるようになります。

お互い多くを語らなくても、
なんとなく相手の考えていることがわかる・・・
これがハイコンテクストなコミュニケーション
なのです。

「出会ったばかりの恋人同士」の場合と比較してみれば
わかるのではないでしょうか?

知り合ったばかり同士だと、お互いのことがわかりません。
どうしても言葉を介して自分の考え、意図、好み、
気分などを相手に伝えていかなければ関係が発展していきません。

上のハイ・コンテクスト文化の説明を読まれた方は、
日本が世界一ハイコンテクストな文化である
ことに納得頂けるのではないでしょうか。

日本は島国で、人口の大多数が一つの民族に入り、
かつ鎖国期間も含めた長い歴史を共有しています。

最近は日本でも価値観が多様化しているという議論はあるものの、
例えば社会規範やビジネス慣習、果ては交通ルールや食事のマナーまで、
日本人は日本人の間であらゆることについての「常識」を共有しています。

だから日本人同士の会話、同じ会社の人同士の会話、
家族内の会話、学校の同じクラスの人同士の会話などでは
直接的、明示的に何かを言って伝えなくても
何となく通じ合える土壌にあるのです。

また日本の場合、
相手との関係を維持することに神経を使い、
相手の気分を害することを忌避する傾向
があります。

そのため相手の決断や意思などに反する意見があったとしても、
関係が壊れてしまうことを恐れるため直接的な言い方を避ける
とも言えます。

「あいつはKY(「空気読めない」)だな」
「ちょっとは忖度しろよ」
「暗黙の了解」
行間を読む
「以心伝心」
「ツー・カー」

「あ・うんの呼吸」

こんな言い方があるぐらいですから、日本では

「その場の空気を敏感に察知し」
「相手を傷つけないように配慮し」
「わかりきったことを言わず」
「黙るべきときに黙り」
「一つ言えば全てわかってもらえる」

日本ではそんなコミュニケーションが理想とされ、
それができる人が評価される社会です。

日本以外のハイコンテクスト文化

相手との関係性や場の雰囲気を察知し、
ほのめかしを多用したり直接的な表現を避ける文化は
日本だけではありません。

先程日本が世界一のハイコンテクスト文化と言いましたが、
程度の差はあるものの、ハイコンテクスト文化であると
される国は他にもあります。

下の図は、「ハイコンテクスト文化(図の右側)」、
それと対極の「ローコンテクスト文化(図の左側)」
という指標において、各国がどの位置付けにあるかを示した
ものです。

上の図では全世界の国々を網羅していませんが、
だいたい地域ごとに特性が偏っているように見えます。

例えばアジア(中国、韓国、インドネシア等)
中東(イラン、サウジアラビア)
アフリカの国(ケニア)はどちらかというと
ハイコンテクスト文化(図の右側)に偏っています。

日本が「世界一ハイコンテクストな文化であること」の意味

外国人がやたらと自己主張が強いように感じたり、察してもらえないと感じるのは当然

ハイコンテクスト文化というのは、
これまで述べた通りお互いが価値観や知識、
認識を共有しているが故に
「直接言わなくても何となくわかりあえる」社会です。

日本が世界一ハイコンテクストな文化であるということは、
日本が世界で最も直接的な表現を避け、
思っていることをそのまま口に出して言うことが世界で
一番少ない文化
ということになります。

アジアや中東の国々もどちらかと言えば
ハイコンテクストな文化ですが、
それでも「世界一」の日本には及びません。

ということは、
それらの国々の人々では日本人よりは直接的な表現を用い、
思っていることをそのまま口に出して言う確率は高い
ということになります。

ですから外国人がやたらと自己主張が強いように感じたり、
察して欲しい場面で察してもらえないというのは当然なの
です。

世界一ハイコンテクストな日本人は、外国人から世界一誤解されやすい

何度も述べますが、日本人同士で「ほのめかし」や
「あえて分かり切ったことを言わない」態度で
コミュニケーションが成立するのは、
お互いが価値観や知識、認識、望ましいビジネス慣習
のあり方を共有しているからです。

しかしながら外国人にとっては「ほのめかし」は誤魔化し
であり、「わかりきったことを言わない」態度についても、
その「わかりきったこと」が理解できない外国人にとっては
誤解を生む温床でしかありません

では日本人は外国人とのコミュニケーション、
外国人が存在する組織内において
どのようにコミュニケーションを図るべきなのでしょうか?

以下の関連記事を是非参考にしてください。


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