日本でも「年上のスタッフ」を持つ人達が増えている
という記事を何かで読んだことがあります。
これは難しいですよね。。。
「年上のスタッフ」を持つ皆さん、
文句を言いたいときはどうされているのでしょうか?
今回は私が経験した「失敗」についてお話します。
年上のスタッフに配慮したつもりが、
かえって彼等の不興を買ってしまった話です。
ザンビアの難民キャンプでNGO職員として
仕事をしていた時のことです。
私は現地駐在事務所の代
5つのプロジェクトと
100名を超えるスタッフの統括をしていました。
私のいた難民キャンプは
アンゴラやコンゴの内戦から逃れてきた
訳3万人の避難民を受入れ、
既に30年にわたって運営されていました。
またその難民キャンプは
日本の淡路島と同じぐらいの広さがあり、
30年という歳月のなかで
避難民はもはや定住民となって
各地に点在して住んでいたのです。
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それぞれのプロジェクトには
現地のプロジェクト・マネージャーがいます。
日々の業務として、毎朝
全プロジェクトのマネージャーと
前日のプロジェクトの状況や
その日の予定、問題点などを確認する
ミーティングを開催していました。
私がそのザンビアに赴任したのは30歳。
周りは私より年上のスタッフばかりです。
私とともにスタッフの統括をしてくれた
現地スタッフの長の方は元市長さんで、
私よりも倍以上のご年配でした。
毎朝のスタッフミーティングで顔を揃えるのは
いわばそれぞれの分野のエキスパート、
そして私より年上。。。というのが実態でした。
ある日のこと。
いつものようにミーティングを行っていたところ、
元市長さんのスタッフ長が言いました。
「ミスター・岡部、話を聞いてばかりじゃななく、
あなたにはもっと私達に指示を出してほしい。」
へ?
私が指示?
私より遥かに年上のあなた達に、私が指示を出すの?
私より遥かに現地のことがわかるあなた達に、私が指示を出すの?
先程述べたとおり、私は当時30歳の若造。
周りは戦乱から着の身着のままで逃れ、
言葉に尽くせないほどの苦労を経験した
百戦錬磨の年上の強者たち。
長い人で30年にもわたって難民キャンプに住み、
私なんかより遥かに現地のことがわかる人達です。
そんな人達に私が指示なんて出せない。
最も効率的に、
そして効果的にプロジェクトを進めるには
どうしたらいいか、
それを最もよく知るのが彼等なので、
彼らが動きやすく、働きやすくするのが
私の役割だと思い、私の言動もそのようになっていました。
リーダーシップ理論の中に
「サーバント型リーダーシップ」というのが
あるそうです。
先頭に立って人々を率いていくというリーダーシップではなく、
どちらかというと皆を下支えするタイプのリーダーシップのことです。
私は現地責任者という肩書を背負ってはいるものの、
スタッフの年齢や彼等のスキル、現地事情に精通していることを考慮し、
彼等を下支えするリーダーシップスタイルを取っていました。
先頭に立って皆を引っ張っていくというより、
黒子になって陰から支えるというイメージでしょうか。
それが現地スタッフに違和感を抱かせてしまったようです。
現地スタッフにとって、組織のトップというのは
文字通り「人を率いていく」「強い存在」でなければならず、
それに基づいた言動を私に期待していた、ということです。
一方で、
私は年上のスタッフにモノ申すという行為を
「やってはいけないこと」と捉え、
文句があっても言わないように
自制していただけでした。
私の仕事だと思っていました。
功を奏したというわけではなかった、
というのが現実です。
「弱いリーダー」であり、
「頼りないリーダー」に映ったのでしょう。