以前の投稿で、
海外では会議中やプレゼン中に
参加者が遠慮なく口を挟んでくるという話をしました。
それ以外に、
異文化環境での会議やミーティングに臨む姿勢に
関係のある要素として「時間感覚の差」があります。
目次
会議と時間管理
日常の小さな会議や公式な会議など、
会議の運営に携わったことがある方も多いのではないかと思いますが、
どんな風に会議の準備を行ったか、思い起こしてみてください。
一般的に会議は「何時から何時まで」と事前に決められていますし、
プレゼンについても「何分ぐらい」というのが決まっていて、
それに沿って会議やプレゼンが進行していきます。
よく見る光景として、
プレゼンをしている人の前に進行係の人が
「あと〇〇分」とか、「あと1分」とか書かれたボードを持った人がいて、
逐一プレゼンをしている人に向けて見せている光景を見たことがありませんか?
こうすることでプレゼン時間をコントロールし、会議全体の進行を管理しているのです。
会議は何時から始めるか?
何時に誰の挨拶があるか?
何時から誰のプレゼンが何分間あるか?
質問時間は何分とるか?
休憩時間は何時から、何分間とるか?
何時に会議を終了するか?
こういったことを事前に綿密に決めますし、
会議本番でもその通りに進行させようとしますよね?
上のように、
物事を進めるにあたり時間をコントロールしようとする文化を
「モノクロニック文化」と呼びます。
モノクロニック文化
日本人は一般的に「モノクロニック文化」に入ります。
・時は金なり
・時間は二度と戻って来ない
・お客様、大事な人をお待たせしてはいけない
・遅刻厳禁
・アポは時間厳守
・締め切りは絶対厳守
いかがですか?
皆さんも無意識にそのように普段行動されているのではないでしょうか。
「モノクロニック文化」における会議やプレゼンでは、
冒頭触れたとおり予め時間が決められていて、
それに沿うように会議がマネジメントされていきます。
特に会議の終わる時間、
自分に割り当てられたプレゼン時間を気にしている
ことが多いように思います。
だから会議の開始時間が遅れたり、
ひとりのプレゼンが長引いてしまうと主催者は困惑し、
バタつき、プレゼンをはしより、
質問を途中で打ち切ったりします。
とにかく時間通りに物事が進むことを常識としているからです。
ポリクロニック文化
一方、「モノクロニック文化」と対照的な文化を
「ポリクロニック文化」と呼びます。
・始業時刻に遅れてくる
・アポに遅れてくる
・締め切りはあくまで「目安」
・「ちょっと待って」は「ちょっと」ではない
・「すぐ、やります」は「すぐ」ではない
・「明日」というのは「いつか」という意味
こういう外国人のスタッフ、あなたの周りにいたりしませんか?
とにかく「ポリクロニック文化」の人達は
時間に無頓着で、時間に柔軟性や融通を利かせることを重視
します。
ポリクロニック文化の人達との会議
さて、時間に無頓着な「ポリクロニック」な人達との
会議をマネジメントするのは、実に骨が折れます。
開始時間になっても参加者はチラホラしかいない。。イライラ。。。
休憩時間が終わっても会場になかなか戻ってこない。。イライラ。。。
プレゼン時間の割当ては無視、好きなだけ話をする。。イライラ。。。
時間がおしていようが、好きなだけ質問をする。。イライラ。。。
これが彼等の一般的な会議に臨む姿勢なのです。
モノクロニックなあなた(日本人)から見れば、ポリクロニックな人達は。。。
・開始時間にほとんど来ていないなんて、いい加減な奴らだ!
・プレゼンは予め〇〇分と言っておいたのに、全く守る気配がないなんて、いい加減な奴らだ!
・一体何分休憩してるつもり?ヤル気あんのか?
・おいおい、もうとっくに質問時間終わってるのに、まだ質問するの!?→はよ終わってくれ~!
→(結果)こんな時間にいい加減な(ポリクロニックな)人達と仕事するのはウンザリだ!
しかしその一方、
ポリクロニックな人達から見れば、モノクロニックなあなたは。。。
・時間時間ってうるさいな!こっちはあれこれ忙しかったんだ!
・時間時間ってうるさいな!交通渋滞がひどかったんだ!
・時間時間ってうるさいな!ここに来る途中で親戚に偶然会っちゃっただけだ!
・時間時間ってうるさいな!まだ話したいことの半分も話してないわい!
・え、質問時間もう終わり?そんなプレゼンでお茶を濁してこっちを騙すつもり?
・え、質問時間もう終わり?疑問に答えようとしないなんて、この人達、誠実じゃないな。
→(結果)こんな時間だけにうるさい(モノクロニックな)日本人と仕事するのはウンザリだ!
ポリクロニック文化の外国人との会議をいかにマネジメントするか?
日常的な業務として会議を開催することは多いですが、
うまくマネジメントしないと上のようにモノクロニックな人達、
ポリクロニックの人達の双方が会議に不満を覚え、
フラストレーションを抱き、果てはお互い不信感を抱くようになります。
では日本人として、時間に柔軟な(いい加減な)
ポリクロニックな人達との会議をどうマネジメント
すればよいでしょうか。
最も重要なことは質疑応答にかける時間、
ポリクロニックな人達が発言する時間を十分確保することです。
ポリクロニックな人達が会議で重視するのは以下の点です。
相手のことをより知ることができたか
自分が抱いている疑問が明らかになったか
自分達に対して誠実な態度を見せてくれたか
要は、会議の目的を十分に達成できたかが問題なのであって、
時間の都合という、彼等にとっても最もどうでもいい要因で
質疑応答がカットされることで彼等の間で不信感と
フラストレーションが溜まります。
時間の許す限り、質疑応答の時間を長くしたり、
プレゼンの途中で質問が出ることも想定して、
プレゼン時間は長めに取ることを検討する必要があります。
時間の都合で質疑応答やプレゼン時間を圧縮せざるを得ない場合、
その旨をきちんと説明した上で、
休憩時間を長めにとったり、
会議の後に簡単なお茶会を開催するなど、
質疑応答ができる環境を確保しておくことも大変有効です。
なお、モノクロニック、ポリクロニックという言葉は文化人類学者のエドワード・ホールという人が考案したものです。『沈黙のことば』という本が参考になります。